旅にでました
幾重にも連なる山並みを仰ぎ、深い山や谷を縫うようにして続くひと筋の道。
数々の歴史を秘めた「中山道」は、江戸・板橋(東京都)から木曽路(長野県)、江州・草津(滋賀県)を経て京へ至る江戸時代の幹線道路である。
その中間の木曽路には今も思いがけない古色蒼然とした宿場町が静かに息づき、都会の雑踏を逃れて訪れる現代の旅人を優しく迎えてくれる。
南北約80㎞、木曽路を通る旧中山道沿いには、北の桜沢(楢川村)から南の十曲峠(山口村)まで11の宿場が点在する。
凍結された江戸の昔が偲ばれる「妻籠」は江戸から数えて42番目の情緒豊かな宿場町である。
2階のひさしが少しせり出した出梁造り、格子のある民家が狭い街道の両側に連なり、豪壮な旧脇本陣奥谷、常夜燈のたつ桝形跡も保存される。
夕暮れ時、家々の障子を通して電灯の明かりが外にもれ、夕闇に包まれた町並みの眺めは旅人でにぎわった宿場の情緒が彷彿としてくる。